用途と選び方

着物や帯にはいろいろと種類や格があって、何を着ていいか迷ってしまう方も多いかもしれませんが、恐れることはありません!着物選びのポイントは大きく考えて3つ、「いつ着るのか」「どこで着るのか」「誰と着るのか」です。要するにTPOなので、洋服でも同じなんですよ。
○○式に着ていく服、会社に着ていく服、週末のお出かけに着る服、運動するときに着る服、それぞれふさわしいものと、そうでないものがあるように、着物にも似たようなしばりがある、というだけのことなのです。

○「どこで着るのか」

「いつ着るのか」というのは季節のことなので最後にまとめようと思いますが、先に「どこで着るのか」を中心に考えてみましょう。フォーマル→カジュアルの順に、いろんな場面を想定してみます。

一番フォーマルな場面というと、現代ではやはり結婚式と披露宴でしょうか。
中でも、新郎新婦に近い親族である場合は格の高いものを着ることになると思います。
新郎新婦の母なら黒留袖、おばなら黒か色留袖、格の高い模様の訪問着。姉、妹なら色留袖、振袖、訪問着など。もっと遠い親戚の場合は、近い方より格上の装いにならない方が無難だと思います。
友人であれば、訪問着、付け下げ、紋のついた色無地に織の袋帯でもOKでしょう。立食形式のカジュアルな披露宴や二次会であれば、華やかな小紋に織の帯などでもいいかもしれません。

ただ結婚式は招かれて参列するものなので、招いてくださった方への配慮を忘れないようにしたいものです。ファッションとはいえおめでたい席にふさわしくない不吉な柄や、主役そっちのけのド派手なコーディネートなどは配慮に欠けると言えるかもしれません。「どこで」のあと、「誰と着るのか」「誰のために着るのか」という視点も付け加えると失敗しないと思います。

次にフォーマルな場面というと、何でしょう?何かパーティーなどでしょうか。
ドレスコードが決まっていればそれに従うとよいと思いますが、結婚式ではないフォーマルなシーン(=セミフォーマル)として、訪問着〜色無地一つ紋、パーティーの内容や、ほかの方の装いとのバランスで小紋もありかもしれません。前述の立食の披露宴や二次会は、こちらのカテゴリーになりそうです。

お子さんの七五三や、卒入学はどうでしょう。「誰と」という意味では、親は付き添いや、参観の立場なので、訪問着ほど格上でなくてもいい気がしますが、お嫁入りのときに持ってきた晴れ着や、晴れ着としての貸衣装が訪問着であるケースも多く、訪問着をお召しの方が多いようです。
私の感覚では色無地に織の袋帯、豪華な柄の織の名古屋帯くらいが過不足なくちょうどいいクラスだと思いますが、ほかの保護者の方の装いとの兼ね合いも考えつつ決められるといいと思います。

また、自分がもてなす立場で、控えめに、でもきちんとした装いで、というときは、やはり色無地に袋帯が一番のような気がします。色無地万能説。持っていると、何かと出番があると思います。
さて、次におしゃれに力が入る場面というと…もうフォーマルではないですが、観劇とか、給仕が付くようなコースのお食事などでしょうか。あっさりした付け下げや色無地、飛び柄(無地場が多く、柄がぽつりぽつりと飛ばしてある)小紋などが、フォーマルではないもののちょっと格上な感じがする着物になりそうです。

また、色は薄い方がなんとなく華やかさが増すような気がします。同窓会などもこのクラスかな?年代と、会場にもよると思います。まだそれほど年配ではなく、会場もホテルで、集まる人も大勢だったらこれくらいかもしれません。ここまでがだいたい、染の着物です。織でも無地だったり、ある程度帯で華やかにできるようなものならありだと思いますが、木綿までは無理かな〜。

もう少し格下となると、ショッピングとランチとか、ちょっとしたお出かけですね。
色無地に染帯や紬の帯などカジュアルな帯でクラスダウンしたり、小紋だったらもうどんな柄でも大丈夫。織の着物もこのあたりからは主役になってきます。ウールもいいですし、木綿も大丈夫でしょう。木綿やウールは、洋服でいうところのTシャツやデニム、セーターくらいの格になるわけなので、例えば休日に友達と待ち合わせて表参道でショッピングしてランチしようというときに、もちろん装い方にもよりますが、デニムも十分あり得ますよね?ですから、このあたりからはもう着物も普段着。洋服と同じように、その日のお天気と気分で選びましょう!

買い物かごもって、近所で夕飯の材料をお買い物、なんてサザエさん的シチュエーションであれば、これはもう木綿かウールですね。帯も枕のいらない半幅や兵児で。
縞や絣の紬や、無地感覚の小紋でもいいですね。初心者の方は、こういう気楽で、失敗しにくいところから始めるのがおすすめです。

○「いつ着るのか」

さて、最後に「いつ着るのか」についてです。これは、現代着物の基礎知識その2「着物の種類」のところでも説明したことですが、着物は袷、単、薄物を季節によって着分けます。
ですので、上に書いたような「どこで着るのか」に合わせた格に、それが10月だったら袷、6月だったら単、8月だったら薄物、というように、着分けるというわけです。
例えば、10月に子供の七五三で着るんだったら、袷の色無地、6月に出版記念パーティーがあったら単の付け下げ、といったようにです。

でも、なぜか一番フォーマルな結婚式だけは、夏でも冬でも袷が許されているのが現実です。
花嫁衣裳や留袖は、一生に何度も着るものではないことや、式場では空調が効いていて袷でも差支えないことや、貸衣装が袷しか用意していなかったりすることなどから、結婚式では袷、単、薄物のしばりは無視していいという暗黙の了解があるように感じます。

でも季節外れのものを着るのであれば、せめて会場についてから着替えた方がいいと私は思います。だって、真夏に家から袷の着物を着て行ったら、会場に着くまでに絞れるほど汗をかいてしまいますからね。そうは言っても、薄物の訪問着などお持ちなのであれば、季節通り、夏には夏の装いをされるのがやっぱり素敵ですし、わかる人は「おっ!ツウだね!」と思ってしまうと思います。

それから、ザ・ベストオブカジュアルの木綿は、仕立ては単と決まっております。裏地をつけると、洗濯したとき木綿だけが縮んで袋になりますし、かといって表も裏も木綿にするのでは裏地をつける意味がないし、というような理由だと思います。
でも、単だから、6月と9月にしか着られないのかい?というと、そうではないんですね〜。
木綿は、気候に合っていれば、上着と下着で調節して、1年中着ていいんです。

気候に合っていれば、というのは、気温が35度を超える日に、じゅばんを着て木綿の着物を着ていられるかと言ったら、着ていいと言われても着たくないですよね。逆に夏でも雨ばかりで涼しい日や、そもそもそんなに気温が上がらない地方だったら、苦も無く着ていられると思います。
というわけで、木綿は普段着としてはほんとに重宝。普段着として着物を楽しまれたい方は、木綿がおすすめです。



→その3・帯の種類

→その5・今すぐ着るにはどうすればいいの?
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